続く映画シリーズです
「マスターアンドコマンダー」(2003年 ピーター・ウィアー)

ナポレオン戦争の時代の海軍モノです。
フランスのナポレオンがイギリスに対する大陸封鎖令を実施するため、私掠船(敵国の商船・艦船などに対する海賊行為を認められた武装船)を放っていた時代、その私掠船の一隻であるアケロン号の追跡命令を受けたイギリス海軍のフリゲート艦サプライズ号の戦いを描いた作品で、人気の海洋冒険小説が原作のようです。
管理人は原作を読んだことはないんですが、帆走船時代の海戦がどんなものかと思ってこれまた中古で買ってみたんですが、どうやら
この映画の予告や宣伝が原作ファンからは評判がすこぶる悪かったようです。(またこの宣伝をアテに見た観客からも)
予告編では「
戦争によって少年兵までもが戦争に駆り出されていく」「
戦争に行きたくなかった少年たちの苦闘」みたいな具合で、邦画によくありがちな安っぽいテーマで飾られていますが、当初管理人もこれを見て、「ああ少年水兵がベテランの指揮官のもとで戦って成長する話なんだなー」とか予想してましたが
全然違いました。
当時は海軍士官になるうえで12歳のうちから艦船に乗り込んで技能を身につける風習はごく自然で、しかも駆り出されたどころかエリートだったようです。しかも主役はベテラン指揮官の方です。戦争反対なんてフレーズもまったく見受けられません。これは広告担当者が非難されてもおかしくないですね。
というわけで、宣伝やパッケージで変な先入観を持つと期待外れに陥るかもしれません。
映画は主にフリゲート艦のサプライズ号での生活がメインですが、途中でガラパゴス諸島でののんびりした生活が出てきます。 というよりこの時代の海戦のスパンが非常に長期です。 なにせ大砲の射程が短い上に帆走船なので、近代戦みたいにすぐに増速や転舵を繰り返す機動戦なんてできませんし、砲戦距離も相手の顔が見える距離です。 追跡戦となると風任せの中互いにたいして速度差が無い帆船同士が何日もかけて大砲の射程内に迫っていかねばならない時代です。 逆にだからこそ面白い。
優位な敵艦をどうやって仕留めるか、木造帆船だから嵐の危険性はさらに高く、未発達な科学や医療技術に囲まれた生活、海洋の中で孤立した船内での生活や人間関係、相手の目が見える位置に接近しての砲撃と接舷・切り込みなど、ある程度の脚色は織り交ぜつつもリアリティが高いです。

ただし、大規模海戦でない孤独な帆走船の追跡戦であり、戦闘よりも船上やガラパゴスでの生活の比重が長くなっているためだけに、最終戦の戦闘ももう少し盛り上がった方が万人受けしたかもしれません。後発のパイレーツ・オブ・カリビアンが空想の世界とはいえ白兵戦やアクションも盛り上がっていました。もちろんこの作品の最後の接舷切り込みもクライマックスだけに作品の中でも最も盛り上がっていますし、戦闘も派手でした。しかしそれまでの長いシーンを一気に覆すために何か演出としてもっと吹っ飛ばしてもよかった気がします。
とはいえ、歴史モノとしてみた場合見ごたえある作品だと思います。
ある程度の、基本的な世界史や世界地理があった方が話の筋がよく分かります。
派手なアクションと素早いテンポを期待した人、あるいは予告や広告での変なフレーズを夢見ていた人には裏切られたのかもしれませんが、個人的には割と好きな映画です。
そう考えると宣伝や先入観のせいで損してしまった映画のような気がします。
オリジナルトレーラー